転職エージェントって、薬剤師の転職でも使うのが当たり前になっていますよね。
でも、実際に利用してみると「思ってたのと違う」と感じたことはありませんか?
今回は、そんな“ちょっとした違和感”の正体と、アラフィフ薬剤師のリアルな体験から見えてきた上手な付き合い方をお届けします。
はじめに

そもそも、薬剤師の転職エージェントってどんな存在だと思いますか?
一般企業向けエージェントのように、自分に合う求人を探してもらいながら、キャリアの棚卸しや今後の方向性まで相談できる“キャリアパートナー”的な存在をイメージしていませんか?
実は、薬剤師や看護師など医療専門職向けのエージェントは、一般企業で働く人が利用するエージェントとは、仕組みも対応も、かなり違います。
私も最初は、「キャリアを一緒に考えてくれるパートナー」だと思っていました。
けれど、実際に使ってみると「思ってたのと違う…?」と拍子抜けすることも。
今回はそんな薬剤師の転職エージェントの“リアル”と、
拍子抜けしないための使い方について、アラフィフ薬剤師の視点でまとめてみました。
求人はある。でも“選べる立場”とは限らない
「薬剤師は売り手市場」という言葉、今でもよく聞きます。
たしかに有資格者という意味では強みがありますし、求人サイトを見れば常に案件は掲載されています。
でも、実際に転職しようとすると、条件を出した瞬間に一気に選択肢が減るというのが現実です。
- 通勤30分以内
- 高年収
- 時短勤務
- 残業ほぼなし
- 人間関係が良好な職場
これらは誰もが求める条件ですが、すべてを満たす求人は極端に少なくなります。
転職エージェントに相談しても「その条件では難しいですね…」となり、
希望を広げるように促されるのが一般的な流れです。
エージェントに期待していたものと現実のギャップ

「エージェントって、キャリアを一緒に考えてくれる人でしょ?」
そう思っていた私は、最初の面談で少し戸惑いました。
希望条件を伝えると、その日のうちに複数の求人票がメールで届き、
「とりあえずこの中で気になるものがあれば応募してみましょう」と案内される。
こちらの思いや経歴を深掘ってくれるというよりも、
「条件に合う枠がどれだけあるか」をスピーディーに見せられる、そんな印象でした。
「なんとなく流れで応募して、決まってしまった」という声もよく耳にします。
一般企業の転職エージェントとはここが違う
このギャップには、薬剤師業界ならではの転職市場の構造が関係しています。
以下に、一般企業向けと薬剤師向けエージェントの違いをまとめてみました。
一般企業とはちがう!薬剤師転職エージェントの“構造的なちがい”
項目 | 薬剤師エージェント | 一般企業向けエージェント |
求職者の特徴 | 国家資格あり・求人が多い前提 | 実績・スキルで差が出やすい |
エージェントの役割 | 条件マッチ重視、紹介数が勝負 | ミスマッチ防止・戦略的提案 |
転職理由の傾向 | 通勤・人間関係など環境改善 | キャリアアップ・年収向上など |
担当者の理解度 | 医療現場の業務に詳しくないことが多い | 同業出身者が担当するケースも |
薬剤師のエージェントは、「キャリアコンサル」ではなく「仲介業」に近い存在。
求職者と求人を効率よくつなげるのが目的で、
「本当にやりたいこと」を一緒に考えてくれるプロではない場合が多いのです。
一般的な転職ノウハウが、うまく噛み合わなかった経験
私自身、久しぶりに調剤薬局への転職活動を始めたときは、
- 自分の価値観の整理
- 転職理由の明確化
- 希望条件の優先順位づけ
- 面接や履歴書の準備
…といった、いわゆる「転職対策」を丁寧に行いました。
これらは一般企業での転職ではとても大事な準備ですし、転職エージェントとじっくり話し合う場面では欠かせない要素です。
でも正直なところ、調剤薬局の転職ではそれを直接活かせる場面が意外と少なかったと感じました。
なぜなら、薬剤師の転職は
「自分がどう働きたいか」よりも、「その条件に合う枠が今あるか」でも話が進みやすいからです。
私が最初にエージェントに相談したときも、
面談はあっという間に終わり、すぐに求人が10件ほど送られてきました。その中から気になるところを選び、
「まず書類選考に出してみましょう」と進められるスピード感に、正直戸惑ったのを覚えています。
もちろん、価値観の整理や自己分析がムダだったとは思いません。
でも薬剤師の転職では、“準備の深さ”よりも、“主導権を持って選ぶ姿勢”の方が問われるのだと気づかされました。
それでも使うべき? エージェントのメリットとは

ここまで読むと、「じゃあ使わない方がいいの?」と思われるかもしれません。
でも、使い方次第でとても心強い存在になるのも事実です。
エージェントを使うメリット
- 非公開求人の紹介が受けられる
- 面接日程の調整や条件交渉を代行してくれる
- 自分一人では見つけられなかった求人と出会えることもある
- 履歴書や職務経歴書の添削をしてくれる
特に複数店舗を持つ法人などは、求人票に出ていない空きポジションをエージェント経由で知れることもあります。
また、年収交渉なども、本人よりもエージェントが行った方がスムーズに進む場合があります。
拍子抜けしないための“使い方のコツ”
「思ってたのと違った…」とならないために、エージェントを使うときは主導権を自分で持つのがポイントです。
私自身が実践してよかったことをまとめてみました。
コツ | 内容 |
希望条件は「見える化」しておく | 面談中に流されそうになったら、「私は何を大事にしたいんだっけ?」を思い出す時間が必要。紙に書いておくと、判断がブレにくくなります。 |
即答しない。“一晩寝かせる”をルールに | 「良さそうですね!」と返しそうになったら、いったん持ち帰って深呼吸。即決より“後悔しない判断”を。 |
断る勇気を持つ | 気が進まない案件はきっぱり断って大丈夫。 |
担当者を変えてもOK | エージェントも人。合う・合わないは当然ある。無理に付き合うより、「交代希望です」と伝えるのが大人の選択。 |
複数社登録して比較 | 片方で出なかった求人が、他では見つかることも。 |
自分でも求人を調べる | 情報をもらうだけでなく、能動的に探す姿勢が大切。 |
【まとめ】

薬剤師の転職エージェントは、
一般企業のような「キャリア相談相手」ではなく、
条件に合う求人を効率よく紹介する“仲介役”に近い存在です。
「思ってたのと違った」と拍子抜けすることもあるかもしれません。
けれど、使い方を知っていれば、頼れるサポーターにもなります。
自分の希望を明確にし、主導権を持つこと。
これが、薬剤師転職エージェントとの“上手な付き合い方”です。
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